
子育てをしていると、どうしても子どもの行動にイライラしたり、腹が立ったりすることはありませんか?
自分自身がまだ未熟なのかもしれない…と感じて、歯がゆくなることもあるでしょう。そんな中で、つい叱りつけてしまうこともあるかと思います。
今回は、「しつけ」とは“厳しくすること”ではなく、“子どもの生きる力を育てる”という視点から考えてみたいと思います。
なぜ親は怒ってしまうのか?
子どもは時に、大人には理解できないような行動を取ります。
「なんでそんなことをしたの?」「どうしてまた同じことを?」と驚くようなことも多いですよね。
最初は注意して伝えても、何度も同じことを繰り返されると、ついイライラして大声を出してしまう…そんな経験、きっと多くの親御さんにあるはずです。
「叱るのは良くない」と頭ではわかっていても、命に関わるような場面では、つい強く叱ってしまうのは当然のことでもあります。
たとえば、子どもが道路を走って飛び出したり、横断歩道でふざけながら渡っていたら、思わず強く注意してしまうはずです。
それは、親として「命を守りたい」という強い思いがあるからです。
しかし、子どもにはまだ危険を察知する力が備わっていません。
だからこそ、その場でしっかり伝える必要があるのです。
ただし、何でもかんでも大声で怒鳴ってしまうと、子どもは「また怒ってるだけだ」と受け止め、内容を理解しなくなってしまいます。
注意にはメリハリが大事です。
「しつけ」=「厳しさ」ではない
しつけは大切ですが、「自分がイライラしているから」「自分が楽をしたいから」という理由で怒鳴ってしまうのは、しつけとは言えません。
子どもは怒られても、親に嫌われたくないから謝ったり、笑ってごまかしたりすることがあります。
これは、親の怒りを和らげるための子どもなりの処世術なのです。
でも、怒鳴れば怒鳴るほど、子どもが成長するかというと…そうではありませんよね。
子どもは「また怒られないようにしよう」と、親の顔色をうかがうようになり、自分の気持ちを押し殺してしまうようになります。
一方で、しつけを放棄してしまえば、社会のルールを学べず、自分本位に振る舞うようになってしまうかもしれません。
大切なのは、怒鳴らず、放置せず、根気よく伝え続けること。
それが、子どもを成長させる「本当のしつけ」なのです。
しつけは「生きる力」を育てること
しつけとは、ただ「ダメなこと」を教えるのではありません。
・あいさつをする
・順番を守る
・ウソをつかない
こうした基本的なことを通じて、子どもは「人と関わって生きていく力」を少しずつ身につけていきます。
この「生きる力」は、親が一つひとつ丁寧に伝えることで育っていくものです。
時間がかかってもいい。ゆっくりでも確実に、子どもに届いていくはずです。
子どもは「怒られた理由」を理解してこそ成長できる
感情のままに怒るのではなく、「なぜダメだったのか」「どうすればよかったのか」を、しっかり伝えることが大切です。
たとえば…
「なんで勝手に飛び出したの!」ではなく、
「今、車が来てたら大けがしてたかもしれないよ。命に関わることだから、必ず立ち止まって確認しようね」
というふうに、「怒る」のではなく「伝える」姿勢を持つことが、子どもにとっての学びになります。
すぐに理解できなくても、何度も繰り返して伝えていくことで、少しずつ自分の中に落とし込んでいけるようになります。
しつけの根底には「愛」がある
しつけの本質は、「あなたを大切に思っているから伝えているんだよ」というメッセージです。
ただ厳しいだけのしつけでは、子どもは「自分はダメな子なんだ」と感じてしまいます。
でも、そこに愛情が込められていれば、
「お母さん(お父さん)は、ちゃんと自分を見てくれているんだ」
と感じて、子どもは安心し、自信を持って育っていきます。
だから、叱ったあとには必ず、
「あなたのことが大事だから、伝えているんだよ」
と一言添えてあげましょう。
その言葉が、子どもにとっての大きな支えになります。
まとめ
子育ては、思い通りにいかないことの連続です。
何度言っても伝わらないこともあるし、自分の未熟さに落ち込む日もあるでしょう。
でも、しつけとは「親が完璧であること」ではありません。
子どもの成長と共に、親も一緒に悩み、学び、成長していく——その過程こそが、しつけの本質なのです。
焦らなくて大丈夫。
一歩ずつでいいんです。
今日できなかったことが、明日ほんの少しできるようになる。
その小さな積み重ねが、やがて「生きる力」となって、子ども自身の人生を支えてくれるはずです。